終戦後の混乱がようやくおさまりかけた昭和30年、金沢の中心部・片町にあった電機メーカー・東芝のショールームから芝寿しの物語は始まります。
当時、このショールームを経営していたのが、芝寿しの創業者 梶谷忠司。
ほとんどの家庭が釜でご飯を炊いていた時代に、
彼は発売されたばかりの電気炊飯器で実際にご飯を炊いてみせ、人々の目をひきつけました。
このアイデアは大当たり。炊飯器は飛ぶように売れました。しかし、実演で大量に炊けたご飯があまる。“ああ、もったいない。捨てずにどう活用すればよいか。”という新たな問題が生まれました。そこで、冷めても美味しくご飯を食べられる方法として「寿司」という発想にいたりました。この発想の原点は、金沢には昔から祭りなど“ハレの日”に「押し寿し」をつくり周囲にふるまう風習があります。この寿司をアレンジし、売り出したところ、これが評判を呼び、日を追うごとに人気は高まっていきました。そして昭和33年には社名を「芝寿し」とし、創業。
本格的な販売、宣伝を開始しました。現在ある代表商品“笹寿し”も創業者 梶谷忠司のひらめきから生まれました。白山比咩神社の参道に売られていた笹餅をヒントに、餅をご飯に置き換えたのが始まりです。以降も柔軟な発想はヒット商品を次々と生み出し、斬新な経営戦略で築き上げて参りました。